マンション管理士 弁護士 土屋賢司

弁護士法人東京総合マンション管理法律事務所

外部監事のご案内(管理会社による第三者管理に対応)

外部監事の受託を始めました。

管理会社による第三者管理の普及を受けて、監事への就任依頼が増えたためです。

 

他のマンション管理士や弁護士と提携し、弁護士法人として組織的に対応する予定です。

管理組合の規模や予算に応じて、弁護士とマンション管理士がチームとなって監事に就任したり、弁護士単独やマンション管理士単独で監事になるなど、柔軟に対応したいと考えています。

 

一般に、管理会社による第三者管理には利益相反の問題が指摘されます。

区分所有者に実質的な不利益が発生するのを避けることはもちろん、形式的・外形的な利益相反への不安・不信も払しょくしたいという管理組合は多く、またこの要請は第三者管理を実施する管理会社側にもあると考えます。

管理会社による第三者管理のメリットは残しつつ、利益相反の不安を抑える。そんな制度があれば第三者管理に移行したい、という管理組合は少なくないのではないでしょうか。

 

そこで私は、外部専門家が監事として関与することにより、利益相反の不安を抑える制度を実現したいと考えました。

監事になる外部専門家は、管理組合が選任し、費用も管理組合から支出されます。管理会社から業務を委託されることはありませんから、管理会社から独立の立場で監査を実施します。もちろん、区分所有法や管理規約の知識があることは大前提です。

 

私は弁護士でありマンション管理士でもあります。管理組合の外部理事や顧問もさせていただいており、日々、マンション管理に関する事件に取り組んでいます。

そのような立場で、管理会社による第三者管理が適正に実施されるためにできることがあるのではないかと考えています。それが第三者監事(外部監事)としての監査業務です。

 

ここで、私の考える「監査」とは何かについてお伝えします。

 

監査とは、委託信任関係の存在を前提に、受託者の説明義務を委託者が解除する際に、受託者の説明に信頼性を付与するもの、と考えます。

「委託信任関係」とは、管理組合(区分所有者全員)が管理会社に対して「管理者としての業務」を委託する関係です。

委託者は管理組合(区分所有者全員)で、受託者は管理会社(の社員で管理者となる人)となります。

管理会社は、管理組合(区分所有者全員)に対して、委託された「管理者としての業務」を遂行し、その途中経過や結果を報告します(これが委託信任関係に基づく説明義務の履行です。)。

この報告を受けた委託者(管理組合・区分所有者全員)は、説明内容に納得すれば、委託業務(管理者としての業務)が適正に遂行・実施されたことを確認することができ、受託者(管理会社)の任務は完了となります(説明義務の解除)。

しかし、一般に委託者は素人で、受託者は専門家です。素人が専門家の説明を聞いても、それが適正か否かを判断することは困難です。そもそも、説明された事実等が真実か否かを確認することすら難しいでしょう。

そこで、委託者(管理組合・区分所有者全員)に代わって受託者(管理会社)を監視・調査し、受託者の説明の真実性や適法性等を判断して委託者に報告することにより、委託者の判断(受託者の説明義務を解除するか否かの判断)を助けるのが、監査なのです。

これは委託者(管理組合・区分所有者全員)のための制度ではありますが、結果的には、適正な業務の遂行をした受託者(管理会社)のためにもなっています。受託者の説明義務に対して第三者の立場から信頼性を付与するものだからです。

 

監査に関する私の認識は上記のとおりです。

このような監査は、第三者管理者である管理会社の粗探しをすることが目的ではありませんし、担当者を吊るし上げるためのものでもありません。

管理会社を厳格にチェックするのは当然ですが、管理者業務が適正に遂行されていれば、それを管理組合(区分所有者全員)に対して説明する存在になります。

 

三者管理を正常に機能させることこそが目的だからです。

 

これにより管理組合(区分所有者全員)は、管理会社が不正を働いていないかを常に監視する負担や、不信感・不安を持ち続けることから開放されると思います。素人である区分所有者ではなく、専門家である監事が管理会社を監視・調査し、管理会社の説明や報告の適法性等を確認するからです。

 

外部専門家が監事に就任するということは、区分所有法や管理規約の理解はもとより、監事招集総会で理事解任議案の提出を認める裁判例前橋地裁平成30年5月22日判決)があることなども知っている第三者が監査するということです。管理会社への牽制として意味のある制度だと思います。

 

ぜひご利用ください。