マンション管理士 弁護士 土屋賢司

弁護士法人東京総合マンション管理法律事務所

マンション大規模修繕工事の談合 公正取引委員会排除措置命令

マンションの大規模修繕工事における談合について、公正取引委員会が排除措置命令を出しました。

 

コンサルタント会社2社と工事会社36社が対象とされています。談合が行われた修繕工事171件についてはマンション名も公表されています。

 

今後、管理組合は大規模修繕の談合問題にどのように対応するか難しい判断を迫られることになるでしょう。

 

特に今回の発表でマンション名が公表されてしまった管理組合は、その対応を協議することが不可避と思われます。

理事会で議論する必要があるのはもちろんですが、区分所有者全員の資産に影響する面もあり、管理組合としてどのように対応するのかについて今後の総会で区分所有者から質問等が出ることも十分に想定されますので、理事会だけでの判断が難しい場合には、総会での議論と決議を経ることも考えられます。

 

ちなみに弁護士の観点でいえば、名前の出たマンションは、談合事件で最も難しい「談合行為」の立証が公的にされた状況ともいえます。訴訟を前提とすれば、損害の立証は民事訴訟法248条で対応可能ですので、裁判等の面からは圧倒的に有利な状況にあるともいえます。

 

民事訴訟法 第248条

「損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。」

 

なお、これはあくまでも工事業者に対する損害賠償請求の場合の話です。

 

コンサルタントについては、工事業者選定補助業務を受託しておきながら、補助どころか逆に談合に関与していたということになると、管理組合から受託した業務そのものを全く履行していないと評価すべき場合も考えられます。その場合の損害賠償請求の額は、上記(工事業者に請求すべき額)に加えて、履行されなかった業務の対価全額というべきかもしれません。

 

いずれにしても、日頃から管理組合の相談を受けている私としては、この件が原因で理事会と区分所有者との対立が発生しないよう祈るばかりです。

 

弁護士 マンション管理士 土屋賢司

 

 

お知らせ

 

地震保険判決(東京地裁令和5年1月26日)

私が代理人として対応した地震保険金請求事件で、被災者勝訴の判決が出ました。

被災者が受領する保険金は、50万円(一部損)から1000万円(全損)へ変更されています。河北新報(2023年3月10日朝刊)でも報道されました。

 

【独自】地震保険で過小判定、裁判で逆転相次ぐ 全国で被災者勝訴 支払額20倍のケースも | 河北新報オンライン

 

今回はマンションではなく戸建て(木造・枠組壁工法、いわゆるツーバイフォー工法)ですが、マンション(鉄筋コンクリート造)について勝訴した判決(*)と同様、一般に公開されていない基準(査定指針)が採用され、被災者が勝訴しています。

 

kenzitsuchiya.hatenablog.com

 

マンションで「査定指針」が適用されるためのさらなる後押しになればうれしいです。

なお、「査定指針」は現在も公開されておらず、またその「使い方」も経験がないとわかりにくい部分があります。とくに、裁判で争うにはその「使い方」が重要ですので、ご注意ください。

 

弁護士 土屋賢司

 

東京総合法律事務所

〒104-0061 東京都中央区銀座4-2-12 銀座クリスタルビル9階

電話 03-3535-7000 FAX 03-3535-7001

外部監事のご案内(管理会社による第三者管理に対応)

外部監事の受託を始めました。

管理会社による第三者管理の普及を受けて、監事への就任依頼が増えたためです。

 

他のマンション管理士や弁護士と提携し、弁護士法人として組織的に対応する予定です。

管理組合の規模や予算に応じて、弁護士とマンション管理士がチームとなって監事に就任したり、弁護士単独やマンション管理士単独で監事になるなど、柔軟に対応したいと考えています。

 

一般に、管理会社による第三者管理には利益相反の問題が指摘されます。

区分所有者に実質的な不利益が発生するのを避けることはもちろん、形式的・外形的な利益相反への不安・不信も払しょくしたいという管理組合は多く、またこの要請は第三者管理を実施する管理会社側にもあると考えます。

管理会社による第三者管理のメリットは残しつつ、利益相反の不安を抑える。そんな制度があれば第三者管理に移行したい、という管理組合は少なくないのではないでしょうか。

 

そこで私は、外部専門家が監事として関与することにより、利益相反の不安を抑える制度を実現したいと考えました。

監事になる外部専門家は、管理組合が選任し、費用も管理組合から支出されます。管理会社から業務を委託されることはありませんから、管理会社から独立の立場で監査を実施します。もちろん、区分所有法や管理規約の知識があることは大前提です。

 

私は弁護士でありマンション管理士でもあります。管理組合の外部理事や顧問もさせていただいており、日々、マンション管理に関する事件に取り組んでいます。

そのような立場で、管理会社による第三者管理が適正に実施されるためにできることがあるのではないかと考えています。それが第三者監事(外部監事)としての監査業務です。

 

ここで、私の考える「監査」とは何かについてお伝えします。

 

監査とは、委託信任関係の存在を前提に、受託者の説明義務を委託者が解除する際に、受託者の説明に信頼性を付与するもの、と考えます。

「委託信任関係」とは、管理組合(区分所有者全員)が管理会社に対して「管理者としての業務」を委託する関係です。

委託者は管理組合(区分所有者全員)で、受託者は管理会社(の社員で管理者となる人)となります。

管理会社は、管理組合(区分所有者全員)に対して、委託された「管理者としての業務」を遂行し、その途中経過や結果を報告します(これが委託信任関係に基づく説明義務の履行です。)。

この報告を受けた委託者(管理組合・区分所有者全員)は、説明内容に納得すれば、委託業務(管理者としての業務)が適正に遂行・実施されたことを確認することができ、受託者(管理会社)の任務は完了となります(説明義務の解除)。

しかし、一般に委託者は素人で、受託者は専門家です。素人が専門家の説明を聞いても、それが適正か否かを判断することは困難です。そもそも、説明された事実等が真実か否かを確認することすら難しいでしょう。

そこで、委託者(管理組合・区分所有者全員)に代わって受託者(管理会社)を監視・調査し、受託者の説明の真実性や適法性等を判断して委託者に報告することにより、委託者の判断(受託者の説明義務を解除するか否かの判断)を助けるのが、監査なのです。

これは委託者(管理組合・区分所有者全員)のための制度ではありますが、結果的には、適正な業務の遂行をした受託者(管理会社)のためにもなっています。受託者の説明義務に対して第三者の立場から信頼性を付与するものだからです。

 

監査に関する私の認識は上記のとおりです。

このような監査は、第三者管理者である管理会社の粗探しをすることが目的ではありませんし、担当者を吊るし上げるためのものでもありません。

管理会社を厳格にチェックするのは当然ですが、管理者業務が適正に遂行されていれば、それを管理組合(区分所有者全員)に対して説明する存在になります。

 

第三者管理を正常に機能させることこそが目的だからです。

 

これにより管理組合(区分所有者全員)は、管理会社が不正を働いていないかを常に監視する負担や、不信感・不安を持ち続けることから開放されると思います。素人である区分所有者ではなく、専門家である監事が管理会社を監視・調査し、管理会社の説明や報告の適法性等を確認するからです。

 

外部専門家が監事に就任するということは、区分所有法や管理規約の理解はもとより、監事招集総会で理事解任議案の提出を認める裁判例(前橋地裁平成30年5月22日判決)があることなども知っている第三者が監査するということです。管理会社への牽制として意味のある制度だと思います。

 

ぜひご利用ください。

 

 

弁護士法人 東京総合マンション管理法律事務所 設立

弁護士法人を設立しました。
個人の弁護士として対応するよりも、法人で組織的にサービスを提供したほうが良い場面もあると感じていたからです。
 
名称は「弁護士法人  東京総合マンション管理法律事務所」
 
法人の名称に「マンション管理」を明記しました。
マンション管理を法的にサポートするための組織、という決意を込めたものです。
 
滞納管理費等対応サブスクリプション契約が好評をいただいている中で、継続的なサービスを安心してご利用いただければと考えております。
 
皆様のご利用をお待ちしております。 
 
弁護士法人東京総合マンション管理法律事務所 土屋賢司
 

標準管理規約 改正

標準管理規約の改正が発表されました(令和3年6月22日 国住マ第33号)。

 

・ITを活用した総会・理事会

・マンション内における感染症の感染拡大のおそれが高い場合等の対応

・置き配

・共用部分と専有部分の配管を一体的に工事する場合に、修繕積立金から工事費を拠出するときの取扱い

・管理計画認定及び要除却認定の申請

・総会の議事録への区分所有者の押印を不要とする改正(デジタル社会形成整備法による区分所有法の改正・令和3年9月1日施行)

・理事会決議による理事長の解任

 

いずれも実務的に影響が大きいものですので、ご注意ください。

 

東京総合法律事務所 弁護士 土屋賢司

tsuchiya@sn-law.jp

 

 

 

 

総会会場の変更方法(緊急事態宣言対応)

 

緊急事態宣言の発出が決まりました。

これに伴い公共施設等の閉鎖も増えています。

 

総会の会場として予定していた施設が使用不能となった場合どうしたらよいのか、というご相談を複数いただきました。

 

緊急性の高いご相談ですので、情報共有の意味も込めて対応方法をご説明いたします。

 

一般に、総会の会場変更については、

①その必要性(出席者大幅増加の場合など)

②区分所有者の参加を保障する措置(旧会場における新会場への案内人の配置や、新旧会場間の移動時間分だけ開始時間の繰下げ対応など)

がなされることを前提に、実務上も認められています。

 

参考にしてください。

 

 

*「改訂新版 マンション管理組合総会運営ハンドブック」(株式会社大成出版社) 253頁

編著:高層住宅法研究会 

発行:(財)マンション管理センター、(社)高層住宅管理業協会 

 

「問103 会場の変更

 出席者が見込みより大幅に増えたため、通知した会場を変更したいのですが、どうしたらよいのでしょうか。

 

【回答】新総会会場への出席者の誘導や、新会場への変更の周知が完全になされれば問題はありません。

 

【説明】

1 管理者が当初予定していた総会会場の終了能力から当日総会出席者を…収容しきれず、別の場所に総会場を変更する必要が生じたと判断したときは、会場の変更処置をとることができます。

2 総会出席者が当初の予定人数をはるかに超えることが、総会日の数日前に明らかとなり、当日までに会場の変更を全区分所有者及び意見陳述権者に通知、提示可能であれば、速やかにその手続きをする必要があります。

3 右2の手続きを取り得なかった場合はもちろんのこと、2の通知掲示をなし得た場合であったとしても総会日当日に旧総会予定場所に会場を変更した旨の表示と、新総会場の場所及び新総会場への道順の表示をなし、さらには旧総会予定場に新会場への案内、説明をする者を配置し(これは新総会場での総会の終了時までは必要です。)、新総会場への移動が完全になされるよう手配されていれば問題はないと考えます。

4 またこの新総会予定場での開催時刻は、新総会場へ所要時間を考慮のうえ、その分繰り下げる配慮も当然要することとなります。 」