マンション管理士 弁護士 土屋賢司

弁護士法人東京総合マンション管理法律事務所

マンションの理事を法律面から支える弁護士を目指して

私は弁護士であり、かつマンション管理士でもあります。

マンション管理の分野で法的なサポートを提供したいと考えています。

 

そのきっかけは、“普通の住民にすぎない理事の置かれた立場が余りにも過酷である”と感じたことにあります。

・理事の業務負担(拘束時間や作業量)が重すぎる。

・理事の責任(善管注意義務)が重すぎる。

・理事の人間関係(派閥争い、利権争い)が重すぎる。

・理事に対する住民の要求(根拠なき上から目線)が高すぎる。 

などなど。

 

素人である住民(区分所有者)が、輪番制等でたまたま就任しただけなのに、管理会社への委託や修繕工事など数千万円から数十億円もの巨額な予算執行「権限」を与えられた上、それに対応した「善管注意義務」も負わされるのが、マンションの理事です。

 

理事には実働も求められます。毎月開催される理事会や、担当する委員会の会議、その他のイベントやその準備などのために、毎週のように休日が潰されます。

さらに理事会では意味のない派閥争いなどに巻き込まれたり、総会では高飛車な住民から細かいミスをあげつらわれて非難されることもあります。

 

理事といっても基本的には素人の住民です。その多くは、働き盛りで日々の激務に耐えているサラリーマンや、共働きに加えて育児で疲れ切っている主婦、老老介護や持病等のため自分や家族の生活で精一杯な高齢者など、様々な事情を抱えています。

しかし、これまでマンション管理の世界では、「マンションは自分たちの財産なのだから自分たちで管理するのが当然である。」という形式論により、それらの事情は軽視され、理事は過剰な負担を強いられてきました。

 

またこれとは別に、住民に理事への就任を求める理由として、「コミュニティ」への参加が挙げられることもあります。

確かに、マンションにおけるコミュニティへの参加は、人間関係の幅を広げる優良な機会であり、また参加した人にしかわからない達成感や充実感が味わえる上、防災の観点などから大きなメリットがあることも事実です。

しかし、それを実現するための手段として理事(会)制度を利用することは、目的と手段が整合しておらず、コミュニティ活動を義務的に強制しているに等しいと言わざるをえません。

 

私は、法律の専門家である弁護士として、普通の住民である理事の負担をできるだけ軽くするために、管理組合を法的にサポートしたいと考えています。

しかしそれは、「マンション管理はそのすべてを外部専門家に丸投げすればよい。」というような極論ではありません。「自分の財産は自分で管理すべき。」というような形式論を超えて、個々のマンションの実情に応じて外部専門家を活用する「バランスの良い管理」を目指すものです。

これまでのマンション管理は、マンション管理士や弁護士などの外部専門家を活用することについて、あまりにも消極的であり、形式論にとらわれてバランスを欠いていたと感じます。

適正なバランスは、マンションの規模や資金等に応じて、もっと気軽に、また積極的に、外部専門家を活用するところに求められるべきです。

 

もちろんそのためには、一定の費用が必要となります。

しかしその費用負担は、これまで理事が個人で背負ってきた「大きな負担(業務負担や責任負担)」を、「小さな負担(住民数で分割した金銭負担)」に分けた上で、区分所有者全員(すなわち管理組合)で分担するものです。これはむしろ、公平かつ合理的なものではないでしょうか。

外部専門家を活用することにより、理事の業務負担を合理化・省力化し、さらに責任負担についても費用負担に変換して、全住民で分担すべきなのです。

 

マンション管理の現場をみると、「理事になったらすごい仕事を押し付けられるからなるべく回避しよう。」「理事になってしまったから仕事を押し付けられないように、とにかく下を向いて時間をやり過ごそう。」というように、多くの住民が理事への就任や責任を回避しようとしています。

しかし、様々な事情を抱えた住民たちがそのように考えることについて、「無関心な住民」「無責任な住民」と一方的に非難するだけでは、何も解決しません。

外部専門家の関与のもとで合理的に運営される理事会であれば、そのような住民も安心して理事に就任し、軽減した負担と責任のもとで、コミュニティ参加の意義や楽しさに目を向けるゆとりも生まれるのではないでしょうか。

 

私は、弁護士として、マンション管理士として、そのようなマンション管理を実現したいと考えています。

 

マンション管理士 弁護士 土屋賢司

tsuchiya@sn-law.jp