マンション管理士 弁護士 土屋賢司

弁護士法人東京総合マンション管理法律事務所

東京高判平成9年10月15日(判時1643号137頁):区分所有者は管理組合への債権を有していても滞納管理費等との相殺を主張することができない

私は、弁護士の中では極めて少数派ですが、マンション管理に関わる業務を中心に活動しています。その関係で、多くの理事会や総会に参加し、毎日のように理事や区分所有者、マンション管理士、管理会社の担当者等から相談を受けています。

 

特定の区分所有者が、理事会や総会で自分の意見が採用されないことに不満をもち、「理事会がきちんとした管理を実施するまで管理費は払わない(同時履行)。」「理事会が管理を怠っているので、私が自腹で管理行為をした。私は管理組合に対して求償権を持っている。滞納した管理費はこの求償権で相殺する。」と主張することがあります。

 

もちろん、理事会は、すべての区分所有者が公平にサービスを享受できるように管理すべきですし、仮に管理組合の業務を何らかの事情で特定の区分所有者が代行したような場合には、その費用を填補すべきでしょう。

 

問題になるのは、いわゆる「クレーマー」住民が、勝手な妄想や根拠のない独断的な主張を前提に、理事会の活動に反対する手段のひとつとして、管理費等との同時履行や、求償権による相殺を主張する場合です。

このような場面でクレーマーが狙っているのは、管理費等の支払拒否そのものではありません。むしろ、理事会に対して、「この住民(クレーマー)の主張に対応して解決した後でなければ、管理費等を請求できない。」と誤解させることにあります。

 

理事会としては、クレーマーから同時履行や相殺を主張されると、まずはクレーマーの主張内容に反論したくなりますよね。適正に活動している理事会であればあるほど、まずは理事会の活動内容について十分に説明し、クレーマーの主張が間違いであることを示した上で、理事会の正当性を理解してもらいたくなるという気持ちはよく分かります。

しかし、理事会がどれだけクレーマーと議論を尽くしても、客観的な資料を示して丁寧に説明しても、クレーマーが納得することはありません。

なぜなら、クレーマーの目的は、問題を解決することにあるのではなく、自分の知識をひけらかして承認欲求を満たすことにあるからです。どれだけ説明しても納得することはなく、たとえ理事会から論駁されても、理由をつけては争点をずらし、いつまでも議論を続けたがるのがクレーマーなのです。

 

通常であれば、理事会は、住民が管理について疑問を感じている場合、まずは説明と議論によりその問題を解決した上で、納得した住民から管理費等を支払ってもらいたいと考えます。住民も、理事会による説明で疑問が解消すれば、納得して管理費等を支払うでしょう。

しかし、クレーマーの場合は違います。①議論による問題解決→②管理費等の支払い、という2段階の対応を悪用し、①の議論に理事会を引きずり込む手段として、②を持ち出すのです。

 

そこで、この裁判例をご紹介します。理事(会)を過剰な負担から解放してくれるものと考えます(なお、下でご紹介する裁判例がクレーマー事案であったということではなく、クレーマーに対応するときに活用できる先例という趣旨です。)。

 

 

(結論)

区分所有者は、管理組合に対して有する債権を理由に、滞納管理費の支払債務と相殺を主張することができない。

 

(理由)

①管理費等は、区分所有者全員がマンションの維持管理という共通の必要のために、自分たちが構成員である管理組合に拠出する資金。したがって、この拠出義務は、管理組合の構成員であることに由来し、その内容は管理組合自身が規約で定めている。

②マンションの維持管理は、区分所有者の全員が管理費等を拠出することを前提として規約に基づき集団的、計画的、継続的に行われるもの。区分所有者の一人でも現実にこれを拠出しないときには、建物の維持管理に支障を生じかねず、当該区分所有者自身を含む区分所有者全員が不利益を被ることになる。管理組合自体の運営も困難になりかねない。

③このような管理費等拠出義務の集団的、団体的な性質とその現実の履行の必要性に照らすと、マンションの区分所有者が管理組合に対して有する金銭債権を自働債権とし管理費等支払義務を受働債権として相殺し管理費等の現実の拠出を拒絶することは、自らが区分所有者として管理組合の構成員の地位にあることと相容れない。

④このような相殺は、明示の合意又は法律の規定をまつまでもなく、その性質上許されない。

 

(引用元:ウエストロージャパン) 

 主  文

一  本件控訴を棄却する。

二  附帯控訴による請求の拡張に基づき、本件区分所有者は本件管理組合に対し、原判決認容額のほか更に金三六五万〇一〇四円及びそのうち別紙「一〇三号室滞納一覧表」(NO.1及びNO.2)の「合計」欄記載の各金員中「請求月」欄が平成七年一〇月から平成八年一〇月までの間の各月に対応する各「合計」欄に記載の金員に対する右各月一六日から支払済みまで年一五パーセントの割合による金員を支払え。

三  控訴費用及び附帯控訴費用は本件区分所有者の負担とする。

四  この判決の第二項は仮に執行することができる。

 

理  由

 

一  請求原因は、当審における請求の拡張前及び右拡張後のもののいずれも当事者間に争いがない。

二  そこで、抗弁について判断する。

1  一般管理費の支払拒絶権の主張について

《証拠略》の中には、本件区分所有者の代表取締役である甲野花子がロビーで来客と面談していると一〇分もしないうちに管理人が来てロビーを使わせないようにしたとか、鍵をAさんに渡してほしいと管理人に言ったところ一〇三号室の用事はできないと言われ、それでは鍵をポストに入れていると伝えてほしいと頼んだところ管理費を払ってないのだから一〇三号室の依頼は一切できないと言われたというような記載があるが、そのほかには本件区分所有者のために一般管理業務がされていないことについて触れる具体的な証拠はない。そして、右陳述書の記載によれば、そのようなことがあったとしても本件区分所有者が本件管理費等を滞納し始めた後のことであることが明らかである上、一般管理費は管理人のする管理業務と直接の対価関係のある性質のものではないから、これをもって一般管理費の支払を拒絶する理由とすることはできない。

  また《証拠略》によると、本件管理組合の平成四年度から平成六年度までの通常集会の議案の中に、本件区分所有者方(一階)の天井の漏水につき二階の区分所有者が本件区分所有者から損害賠償を求める民事訴訟を提起されたときはその者のため本件管理組合が弁護人の選任その他の協力をし訴訟費用、弁護士費用を負担する旨提案するものがあり、これが可決されていることが認められる。本件区分所有者は、一般管理費は右のような本件区分所有者相手の訴訟の費用として使用される可能性のあるものであるから本件区分所有者にその支払義務はないと主張するのであるが、本件管理組合がこのような議案を用意し集会で可決されたとしても、それ故に本件区分所有者が一般管理費の支払を拒絶することができると解すべき理由はない。《証拠略》によると、右議案は、本件管理組合が二階からの漏水防止のために二階の区分所有者方の排水管エルボの交換工事を実施しようとしたのに対し本件区分所有者が反対したためこれが実施できなかったことを受けて提案されたものであることが認められるから、この点からしても右主張は理由がない。

  したがって、本件区分所有者の支払拒絶権の主張は採用することができない。

 

2  境界壁の修理工事費の償還請求権との相殺の主張について

(一)  《証拠略》によると、次の事実を認定することができる。

  本件区分所有者は昭和六一年四月一七日前所有者から本件建物を買い受けたが(争いがない。)、本件建物は本件マンションの一階部分で登記簿上の床面積三一九・七三平方メートルという広い専有部分である。本件マンションの敷地は本件建物の南側及び東側が相当広い庭園になっているが、本件管理組合の管理規約(本件マンション管理規約)では「一階専有部分に直接南面および東面して造園された庭園の一部は、その専有部分の区分所有者が無償で専用することができる。但し、庭園以外の目的に使用し、第三者に転貸し、占有させ、または構築物を設置してはならない。この場合、樹木の維持管理は、その区分所有者が行う。」と定められており(第七条第二項)、右の一階専有部分の区分所有者に該当する本件区分所有者が右の南面及び東面する庭園(鍵の手に接続している。)について専用使用権を有する。

  右の庭園と東側隣地との境界は直線の境界であるが、その境界には万年壁が設置されており、右万年壁の西側にはこれに沿って少し間を隔てて丈の低いコンクリート製の擁壁(境界壁ではない。)が設置されている。そして右の二つの壁の間(以下「東側ベルト状部分」という。)には土が入れられ、樹木が一列に植えられていた(現況は、後記のように右樹木の東側に右万年壁に沿って竹の垣根が存在する。)。

  本件区分所有者は、昭和六二年一一月、モリオキ産業株式会社に注文して前記コンクリート擁壁の壁面に煉瓦様タイルを貼る工事をしたが、右工事費用は二二六万二〇〇〇円であり本件区分所有者がこれを負担して支払った。

 

(二)  本件区分所有者は、コンクリート雛壁は共用部分であるところ、前記のように植えられていた樹木の根が右擁壁を圧迫して変形させ、地震等で倒壊して人的被害の出ることが予想されたため、本件管理組合のためにする意思でその壁の修復を行い表面をタイルで補強したものであるから、前記費用について本件管理組合に償還を請求する権利があると主張する。しかし、前記乙第一号証及び原審における本件区分所有者代表者本人の供述によっても前記工事が右主張のとおりの理由で必要であったことまでを認めることはできず、そのほかに右事実を認めるに足りる証拠はない。かえって、《証拠略》によると、本件区分所有者は前記庭園について前年の昭和六一年に大規模な造園工事を施し立派な庭園に仕立てたが、右のタイル張り工事の結果右庭園は更に見映えのするものになったことが認められるのであり、このこととタイルをコンクリートの壁面に張ったとしても倒壊防止策として特に有用なものとまで考え難いことに照らすと、本件区分所有者は庭園の専用使用権者として主として本件区分所有者自身の利益のために前記工事をしたと推認せざるを得ない。そうすると、本件区分所有者は本件管理組合に対し右工事費用の償還を請求することはできないから、右償還請求権を自働債権とする本件区分所有者の相殺の主張は、その余の点について判断するまでもなく採用することができない。

 

3  万年壁に隣接する竹壁の工事費償還請求権との相殺の主張について

(一)  《証拠略》によると、本件区分所有者は関連会社である有限会社陽伸名義で、平成二年五月、有限会社高橋造園に注文して、前記東側ベルト状部分の樹木の外側(前記境界の万年壁の内側)に沿って竹の桂垣を巡らしたこと及びその費用として一〇九万四三二三円を要したことを認めることができる。

 

(二)  本件区分所有者は、右工事は前記境界壁たる万年壁が老朽化し倒壊が予想されたので本件管理組合のためにする意思でしたものであるから、右費用について本件管理組合に償還を請求する権利があると主張する。しかし、右竹垣が右主張のとおりの必要があったため設置されたことを認めるに足りる証拠はない。かえって、《証拠略》によると、右竹垣は右主張の倒壊に備えた被害防止の面でそれほど効用のあるものではなく、前記タイルと同様に庭園の美観を増す効用が著しいものであることを認めることができるから、本件区分所有者は庭園の専用使用権者として本件区分所有者自身のために右工事をしたと推認せざるを得ない。そうすると、本件区分所有者は本件管理組合に対し右工事費用の償還を請求することができないから、右償還請求権を自働債権とする本件区分所有者の相殺の主張は、その余の点について判断するまでもなく採用することができない。

 

4  共用部分の樹木剪定費の償還請求権との相殺の主張について

  《証拠略》によると、本件区分所有者は昭和六一年一〇月ころから、前記高橋造園に注文して前記東側ベルト状部分に植えられている樹木の剪定等の手入れを本件区分所有者の費用でしてきたことが認められるところ、本件区分所有者は、右手入れの費用は共用部分に係る費用であり本件管理組合のためにする意思でしたものであるから、本件区分所有者は本件管理組合に対しその費用の償還を請求する権利があると主張する。

  しかし、前記認定と《証拠略》により認められる現地の状況によると、東側ベルト状部分は隣地との境界の内側でありそこに植えられている樹木は本件区分所有者が専用使用権を有する庭園の一部に該当すると認めるのが相当である(管理規約第七条第二項本文にいう「庭園の一部」が本件区分所有者が専用使用権を有する部分を限定し東側ベルト状部分を除いた趣旨であると解することはできない。なお、原審口頭弁論期日で陳述された平成七年四月一三日付け準備書面において、本件区分所有者は、昭和六二年ころまでは本件区分所有者も右部分が専用庭園の一部であると信じていた旨主張している。)。そして、管理規約の前記第七条第二項と後記第二一条の規定によると、右庭園の樹木の維持管理は本件区分所有者がその費用負担においてすべきものであることが明らかであり、この定めを無効とすべき事情があることを認めるに足りる証拠はない。そうすると、本件区分所有者は右費用の償還を本件管理組合に請求する権利はないから、本件区分所有者の前記相殺の主張は、その余の点について判断するまでもなく採用することができない。

 

5  駐輪場に面する庭の樹木の剪定費用の償還請求権との相殺の主張について

  本件区分所有者の右主張については、本件区分所有者がその主張のとおりの理由で右主張の場所の剪定作業をしその主張のとおりそのための費用を要したことを認めるに足りる的確な証拠がない。したがって、その余の点について判断するまでもなく、本件区分所有者の右主張は採用することができない。

 

6  A大使館敷地内の樹木剪定費の償還請求権との相殺の主張について

(一)  《証拠略》によると、次の事実を認定することができる。

  前記庭園の南側は旧A大使館の敷地に接し右大使館敷地は高木が植えられた庭園になっているが、昭和六一年ころ以降は右庭園の手入れがされなかったため、樹木の枝が本件マンションの敷地にはみ出し、通風障害、害虫被害等の支障を及ぼし放置し得ない状況になった。しかし、右大使館敷地の管理者は正常な対応ができない状態にあり、本件マンション側が自衛として対処せざるを得ない事態になっている。そして、前記管理規約では「敷地及び共用部分の管理については管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。但し、バルコニー、庭園等の管理のうち、第七条第一項乃至第三項に定めるものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担とにおいてこれを行うものとする。」と定められているところ(第二一条。前記被害状況に照らすと特段の事情のない限り右の被害に対応する手段を講じることは右敷地及び共用部分の管理に該当し本件管理組合においてこれを行う義務があるということができる。)、本件管理組合は一部右状況に対処し、例えば平成六年四月には本件管理組合が越境する樹木の剪定等をしその費用二九万四五八〇円を負担した。しかし、本件管理組合は、本件区分所有者が専用使用権を有する前記庭園に面する部分は本件区分所有者の負担ですべきものとして右部分については右剪定等をしていない。

  本件区分所有者は、昭和六一年以降右部分について自ら高橋造園及び大森造園建設株式会社等に注文して剪定作業をしているが、その費用として、昭和六一年一〇月の作業については一〇万八〇〇〇円(ただしこの費用には専用庭園の手入伐採費用も含まれている。)、平成元年一〇月の作業については三二万円(ただしこの費用にも専用庭園の手入伐採費用が含まれている。)、平成六年七月の作業については三五万〇二〇〇円、同年一二月の作業については三六万八七四〇円の合計一一四万六九四〇円を要した。

 

(二)  ところで、前記庭園の樹木の維持管理については、本件区分所有者が自らの費用で行うことを要することは前記のとおりであるが、前記管理規約は、右庭園に面する敷地外に存在する樹木が右庭園を含む敷地及び本件マンションの居住者の生活に被害を及ぼす場合にこれを予防しあるいは除去することまでを本件区分所有者の義務とするものではない。そして、前記認定によると、旧A大使館敷地の樹木は本件区分所有者を含む本件マンションの区分所有者全員の利益のため右区分所有者側で剪定せざるを得ない実状にあると認めることができる。そうすると、本件区分所有者のした前記作業は、真に必要であった限りにおいて本件管理組合がする義務のあるものを本件区分所有者が代わってしたということができるから、本件管理組合は本件区分所有者に対しその費用を償還する義務があるというべきである。そして、本件区分所有者は平成六年中に二度作業をしているが、そこまでの必要があったことを認定するに足りる証拠はないから、そのうち低額の三五万〇二〇〇円が必要費用であったと認めるのが相当である。また昭和六一年及び平成元年の作業はいずれも専用庭園の手入伐採費用も含むものであるところ、《証拠略》によると専用庭園関係の費用部分は多くても四万円を上回るものではないと認めるのが相当であるから、これを差し引くとそれぞれ六万八〇〇〇円及び二八万円になり、これらが償還請求することのできる費用に当たると認めることができる。

 

(三)  本件管理組合は、区分所有者の一人にすぎない本件区分所有者は本件管理組合の承諾を得ずに管理行為をすることはできないところ、本件区分所有者のした前記剪定等は本件管理組合の承諾がなくその意思に反してされたものであるからその費用の償還を請求することはできないと主張する。しかし、前記認定によると本件区分所有者は本件管理組合がその義務のある管理行為を怠ったのでやむなく自らこれをしたのであり本件管理組合はこれにより右費用の負担を免れる利益を得ているのであるから、本件区分所有者は本件管理組合に対し事務管理費用の償還として右費用の償還を請求することができるというべきである。

 

(四)  そして、本件区分所有者が平成七年四月一三日の原審第四回口頭弁論期日において右債権を含む債権を自働債権とし本件管理組合の本訴請求債権(ただし拡張前)を受働債権として対当額で相殺する旨の意思表示をしたことは本件の記録上明らかである。

  しかし、本件請求債権のようなマンションの管理費等は、マンションの区分所有者の全員が建物及びその敷地等の維持管理という共通の必要に供するため自らを構成員とする管理組合に拠出すべき資金であり、右拠出義務は管理組合の構成員であることに由来し、その内容は管理組合がその規約に定めるところによるものである。また、マンションの維持管理は区分所有者の全員が管理費等を拠出することを前提として規約に基づき集団的、計画的、継続的に行われるものであるから、区分所有者の一人でも現実にこれを拠出しないときには建物の維持管理に支障を生じかねないことになり、当該区分所有者自身を含む区分所有者全員が不利益を被ることになるのであるし、更には管理組合自体の運営も困難になりかねない事態が生じ得る。このような管理費等拠出義務の集団的、団体的な性質とその現実の履行の必要性に照らすと、マンションの区分所有者が管理組合に対して有する金銭債権を自働債権とし管理費等支払義務を受働債権として相殺し管理費等の現実の拠出を拒絶することは、自らが区分所有者として管理組合の構成員の地位にあることと相容れないというべきであり、このような相殺は、明示の合意又は法律の規定をまつまでもなく、その性質上許されないと解するのが相当である。そうすると、本件区分所有者の前記相殺の意思表示は結局効力を生じなかったことになる。

 

三  結論

  以上によると、本件管理組合の当審における拡張前の請求は理由があるから、これを認容した原判決は相当であり、本件控訴は理由がない。また右拡張に係る請求は理由があるから、これを認容すべきである。よって、控訴費用及び附帯控訴費用の負担について民訴法九五条、八九条を、仮執行の宣言について同法一九六条を適用して、主文のとおり判決する。

                                                                                                                               以上